療育の目標は、子どもが自分に自信と誇りをもって暮らせるおとなになることです。
技術を教えこむために自信や誇りを失わせては元も子もありません。
療育は、将来のいつかのために今を犠牲にする修行ではありません。
自分に自信と誇りをもって暮らせるおとなになるためにいちばん大切なことは、今の、この幼児期に、できるだけ多くの安心と自信を子どもにもたせることです。
そのためにはたしかに技術はないよりあったほうが有利なので、技術を教えるのです。
何が本来の目的で、何がそのための方法なのか、そのことをいつも頭においておかないと「療育をめざして療育的でない暮らしを送る」ことになりかねません。
よりよい親とは、より大きな犠牲を払っている親のことではありません。
笑っていないあなたに育てられた子どもが、将来、自分に誇りをもったおとなになれるでしょうか。
療育は先で笑うために今歯を食いしばることではないのです。親にとっても子にとっても、です。
今を、この一度しかない大切な今を、より楽しくより便利により充実して暮らすためのアプローチのことなのです。
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こちらの文章は、
吉田友子著「高機能自閉症・アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て」
より引用させていただきました。
吉田友子さんは、横浜発達クリニックの先生です。